【不妊治療】基礎講座~男性の検査の話~

婦人科・不妊治療

こんにちは!こんばんは!不妊治療施設で15年間働いた経験のあるナースらっこです♪

自身の経験上、不妊治療で来院される患者様の多くは女性がほとんどです。※ご主人様も奥様と一緒に医師お話を聞いて欲しいなぁという思いを感じていたナースらっこです。。。

そのイメージもあり、男性が来院・通院するハードルも高いと思われがちなのかもしれません。。。

男性が女性の多い所に行くのは、ちょっとどころでは無い緊張感ですよね・・・

そして、男性の検査って何するの?と、よく分からない方も多くいらっしゃると思います。

この記事では

・不妊治療で行われる精液検査についてお話します
・その他、人工授精や体外受精にまつわる検査のお話をします



ご主人様の検査について

精液中の細菌検査

日常的に重要とは言えないまでも、通常は精液検査(運動率や数の検査)とほぼセットで行われていることが多いです。

いわゆる【性病】や【感染症】の有無を見ています。もしも感染症や性病が発見されれば、治療など先に行います。

※性病などの病気があるとき、排尿痛や精液の性状・色の変化で分かるケースも多いですが、ほとんど症状の無いケースもあります

梅毒、淋病、その他腸内細菌系などの有無や異常値を検査しますが、発見された細菌や病気によっては不妊治療を一旦お休みするケースもあります。



精液検査とは?

男性の検査として先ず浮かんで来るのは【精液検査】と思います。精子の数や運動率や形態を見る検査ですね!

通常は禁欲期間を2~7日置くことがベターとされています。検査直前の射精は、精子の数が減ってしまい正確性に欠けてしまうからなんですね。

また精子は、男性側の外的ストレスや喫煙歴・食生活・インフルエンザなどでの高熱、精液の持ち込みでの検査では運ぶ時の状況など様々な要因で数や運動率も変化します。

そのため、検査結果によっては複数回にわたり精液検査を行うこともあります。※一度の検査結果があまりよくないからと言って落ち込まないでくださいね!

治療方針を決める判断材料の一つだと捉えてもらえると良いと思います。(精液検査の結果がよくても妊娠に至らないケースもありますし、多少悪くても妊娠に至るケースもあります)

そして、検査を受けるタイミングは受診されるクリニックや病院で指示されるケースもあれば、完全予約制の所もあり様々です。

また、精液の採取も自宅採取や病院・クリニックの防音された個室で採取など様々ですので、各病院やクリニックのHP等で確認しましょう。

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精液検査の基準値はあるの?

精液検査ではWHOで定められた国際基準があります。

<WHO>
・精液量(ml)→1.5ml以上
・総精子数(万)→3900万00/全精液量以上
・精子の濃度(万/ml)→1500以上
・精子の総運動率(%)→40%以上
・精子の前進運動率(%)→32%以上
・精子の生存率(%)→58%以上
・精子の正常形態率(%)→4%以上

また病院やクリニックで独自の基準を設けているところもあります。受診される病院・クリニックでの医師のお話を受けて検査結果を確認してくださいね!

独身の男性は精液検査は受けられるのか?

不妊治療クリニックで働いていたとき、パートナーが居ないであろう独身の男性と思われる方から「精液検査をしてもらえるのか?」と問い合わせを受けるケースがありました。

これに関しては「不妊治療専門病院・クリニックでは受けられるケースはほとんど無い」と言わざるを得ないです。

パートナーがいる方(事実婚など)でお子様を希望する方や婚約中で不妊治療をご希望の方は、病院やクリニックによっては検査を受けられるケースもあります(各自、問い合わせ・確認お願い致します)

お子様の希望が無くパートナーが居ない独身の方など精液検査を受けたい!という方が運動率や数だけをみるのは、ハードルが高く受診できないケースが多いと思われます。※病院は病気の疑いがないと保険は適応されないですし、自費で出来るかどうかは分からないです。

また精液検査をアプリでみた!という患者様もいましたが、正確性に欠けるものが多いのでオススメ出来ないです。。。あくまでも知りたいという欲求を満たすだけのものと割り切りましょう。

人工授精や体外受精前に必要な検査

女性側の検査や精液検査の結果を踏まえ、人工授精や体外受精の方針が立てられると実施前の検査が追加されます。多くは血液検査です。

感染症検査(B型肝炎・C型肝炎・梅毒・HIVなど)

貧血検査(赤血球・白血球・血小板などの一般検査)

クラミジア抗体検査

これらの採血検査にて異常値や治療が必要と思われるときは、人工授精や体外受精などの不妊治療は一旦中止し治療を優先します。※感染症が発見された時点で抗生物質などの治療に切り替わったり、病気に合わせた治療が行われます

クリニックや病院によっては初めから検査項目に入っているケースもありますので、受診された病院・クリニックで確認お願いします

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その他の検査

その他の検査として、性機能障害である逆行性射精が疑われるときは尿検査が追加されることもあります。

また、精子がほとんどいないなど男性不妊が強く疑われる場合男性器の触診など診断によって検査が追加されることもあります。

検査実施の順番は人それぞれ

不妊治療における男性の基本的な検査は次の通りです。

・精液の細菌検査と精液検査
・治療のステップアップにまつわる血液検査
・逆行性射精が疑われるときの尿検査や触診など

これらの検査は必ずしも順を追って行うとは限りません。

医師の治療方針や男性側の身体の状態、ご夫婦の考えや通院状況でも何を検査するのか変わってくることもあると思います。

医師と患者様であるご夫婦でコミュニケーションをとりつつ、身体の状況と合わせながらご負担無く検査を進めて行きたいものです。

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